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オーストリアにおける自由刑

概説
 オーストリアとは、ヨーロッパ中央部にある人口約830万人の国であり、ドイツやチェコに隣接する。
 オーストリアにおいては、死刑は廃止されているため存在せず(*1)、自由刑には無期刑と有期刑がある。有期の自由刑は、最長20年である(*2)
 無期の自由刑(Lebenslangen Freiheitsstrafe)には、わが国と同様、仮釈放の可能性が認められており、15年の経過によって仮釈放を許すことが可能となる(*3)。有期の自由刑については、刑期の2分の1の経過により裁量的に仮釈放を許すことが可能となり、また、可罰的行為を行うおそれがない限り、刑期の3分の2の経過により必要的に仮釈放される(*4)
 仮釈放期間については、考試期間主義が採用されており、無期の自由刑の場合は10年、有期の自由刑の場合は、残刑期間が3年を超えるときには5年、残刑期間が3年以下のときは1年以上3年以下の範囲内とされている(*5)
 法定刑を見てみると、ジェノサイドには必要的に無期の自由刑が科されるが、殺人罪には、無期又は10年以上20年以下の自由刑が科される(*6)。なお、21歳未満の者には、無期の自由刑を科すことはできず、20年の自由刑が最高刑とされている(*7)
 さいごに、参考までに、手元に資料のある1984年から1993年までの無期刑仮釈放者数について下表に示しておく(*8)

仮釈放者数
1984年
2
1985年
4
1986年
5
1987年
4
1988年
12
1989年
6
1990年
12
1991年
3
1992年
4
1993年
5
出典:オーストリア政府編・治安報告書(*8)

参考URL:オーストリア刑法典(原文)
後注
(*1)死刑は1919年に廃止された。
(*2)刑法18条、39条。加重する場合も20年を超えることはできない。
(*3)刑法46条5項。改善が見られること、可罰的行為を行うおそれがないことなどが仮釈放の判断の要件とされている。
(*4)刑法46条1項、同2項。ただし、3月の経過が必要とされる。旧刑法は、刑期の3分の2(ただし、6月の経過が必要とされる)の経過により裁量的に仮釈放を許すことができると規定していたが、1995年より改められた。
(*5)刑法48条1項。残刑期間主義と考試期間主義については、こちらを参照。
(*6)ジェノサイドの罪につき刑法321条、殺人罪につき刑法75条を参照。ただし、激情殺人については刑法76条により法定刑は5年以上10年以下の自由刑とされているほか、嘱託殺人・嬰児殺人については刑法77条に規定されている。この点に関するドイツ刑法211条〜213条との比較については、山本光英「ドイツ謀殺罪研究」(尚学社)309頁など。
(*7)刑法36条。
(*8)宮澤浩一「オーストリアの更生保護制度について」犯罪と非行104号(1995年)を参照。1994年以降のデータについては、手元に資料がないので不明である。仮釈放者の平均在所期間や、仮釈放条件期間を経過している無期刑受刑者数なども同様の理由で不明である。