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ポーランドにおける刑罰制度


はじめに
 ポーランドには、死刑は存在しない。自由刑には、無期刑と有期刑がある。以下、ポーランドにおける自由刑の概要について簡潔に説明していく。

無期刑
 ポーランドの無期刑(Kara dozywotniego pozbawienia wolnosci)は、仮釈放なしの無期刑(Life imprisonment without parole)ではなく、わが国と同様、仮釈放の可能性のある無期刑であり、25年経過後に仮釈放の余地が認められている(*1)
 無期刑は、1932年刑法典には規定されていたが、1969年刑法典では規定されていなかった。しかし、1995年に死刑の執行を延期することとの関連で無期刑が復活し、1997年、死刑の廃止に伴い最高刑となった(*2)

有期刑
 ポーランドにおいては、有期刑は、1月以上15年以下であるが、重い有期刑として「25年の有期刑」が存在している。
 25年の有期刑は、1932年の刑法典には規定されておらず、1969年の刑法典により初めて規定されたものである。以後、死刑に次いで重い刑であったが、現在では、死刑が廃止されているため、無期刑に次いで重い刑となっている(*3)
 1932年、1969年、1997年の各刑法典における刑罰体系は、下表1の通りである。
表1
1932年刑法典
死刑、無期刑、15年以下の有期刑
1969年刑法典
死刑、25年の有期刑、15年以下の有期刑
1997年刑法典
無期刑、25年の有期刑、15年以下の有期刑

有期刑受刑者の仮釈放
 15年以下の有期刑受刑者については、刑期の2分の1(ただし6月以上服役後)経過により仮釈放が可能である。ただし、累犯者については、3分の2あるいは4分の3を経過しなければ仮釈放は不可能である。25年の有期刑受刑者については、15年経過後に仮釈放が可能である(*4)

受刑者の刑期
 下表2は、ポーランドにおける受刑者の具体的刑期を示した表である(2003年末現在)。
表2(*5)
刑期人員
6月未満2213
6月以上1年未満8704
1年以上2年未満17210
2年以上3年未満9641
3年以上5年未満10921
5年以上10年未満6383
10年以上15年未満2763
25年1115
無期120
 無期刑の適用は比較的慎重であるといえる。なお、ポーランドにおいては無期刑も25年の有期刑も、常により軽い刑と選択的に法定されている。

むすびにかえて
 以上、ポーランドの刑罰体系を見てきたが、ポーランドにおいても、2000年頃から不況等に伴い、マス・メディアによる犯罪報道が加熱傾向にあるようであり、刑務所への収容者数も増加しているようであるが(*6)、どのような報道がされているか興味深いところである。
後注
(*1)刑法78条3項。なお、18歳未満の者には無期の自由刑を科することはできず、25年の有期自由刑が最高刑である。
(*2)A・Jシュヴァルツ著/西原春夫監訳「ポーランドの刑法とスポーツ法」成文堂(2000年)64頁。
(*3)同上
(*4)刑法78条1項、同2項。15年以下の有期刑の受刑者で累犯の者については、累犯の種類により、3分の2経過後、4分の3経過後に分かれている。
(*5)石塚伸一「ポーランドの行刑事情二〇〇四年春」龍谷法学37巻3号。なお、ポーランドの人口は約4000万人である(2007年現在)。
(*6)同上